神戸市長田区の小学1年生、生田美玲さん(6)の死体遺棄事件で、同容疑で逮捕された君野康弘容疑者(47)に何とも気になる可能性が浮上した。実は「知 的障害を演じていたのかもしれない」という衝撃的な疑惑。巧妙なら専門家でも演技を見破るのは難しく、一度療育手帳を入手すれば、生活保護費も上がり、 様々な恩恵を受けられるという。実際に最近の君野容疑者は“生保ジプシー”で、働かずに朝から飲酒していた。

 君野容疑者の自宅から9月29日、美玲さんのDNA型と一致する血液反応が出たことが分かった。捜査は前進したものの、いまだ遺体を解体した刃物などは見つかっておらず、君野容疑者が黙秘しており、捜査は難航していると言わざるを得ない。

 遺体を入れたポリ袋の中に、診察券や公共料金の書類などが残っていたずさんすぎる犯行。事件後には、隣人に無理やり洗濯機を譲ろうとしたり、髪を染めて印象を変えるなどあまりに稚拙な隠ぺい工作。なのに、全容はまだ闇の中のままだ。

 犯罪ジャーナリストの北芝健氏は「酒が抜けた一瞬で容疑者なりに冷静に遺体処理したのでしょう。自衛隊入隊時は障害者手帳は持っていないはずで、知的障害があったとしても微々たるもの」とみる。

 接見した増田正幸弁護士(59)も「言葉数が少なく表現も幼いが会話は成立するし、込み入った話をしない限り知的障害は正直、まったく分からない」と印象を語った。

  福祉サービスを受ける際に必要な療育手帳を君野容疑者が不正取得した可能性はあるのか? 神戸市の障害者更生相談所によると「知能検査では、作業を的確に こなせるかなど様々な面から、成育歴や経歴も考慮して精査する」というものの、“演技”を見破る方法は確立されていない。そのため、一度担当者の目をごま かせれば5~10年後に再検査するまで長期間、様々な福祉サービスが受けられ、生活保護の支給額も上がるという。

 神戸市によれば「単身者の生活費は月額約8万円ですが、軽度の障害者には1万7820円が加算されます。家賃は上限4万円まで扶助、医療は現物支給の考えに基づき完全無料です」という。

 支給された生活保護費は飲酒に費やされていたようだ。近隣住民の多くが、君野容疑者について「一日中、酒を飲んで酔っ払っていた」「酒を飲むと180度、人が変わる」などの酔っ払って徘徊している姿や、住民たちに悪態をついている姿を目撃している。

 生活保護に詳しい事情通は「国立大の物理学科出身でIQは問題ないが、知的障害2級に認定されて生活保護を受給し税金を逃れ、各種の食事会やサービス券で、働かず暮らすことが身上の人間もいる」と指摘する。

 また、地元関係者は「神戸市の中でも特に長田区は審査が緩く、書類を出せば受理されることで有名。また市営や県営住宅が多い長田区は、よそからも多くの生活保護受給希望者が流れてくるのです」と語る。真偽はともあれ、地元民からそういう話が出た。

 実際、君野容疑者は大阪市の西成区や兵庫区にいた以前から生活保護を受給していた“生保ジプシー”だったようだ。地縁がない長田区に流れてきたのは、生活保護を受給しやすいといううわさを聞きつけてのことかもしれない。

 容疑者は事件当日について「酔って覚えていない」と供述しているが、これでは被害者は浮かばれない。
(10/1東スポ)