就学援助を受けている児童・生徒が多い小中学校の 事務職員の定数を増やす国の制度を巡り、少なくとも9府県が2013年度、文部科学省に過大申告していたことが毎日新聞の取材で分かった。過大申告数は計 280人に達した。人件費の3分の1は国が負担するため、文科省は本来の定数を超えて職員を配置していた場合、返還請求も視野に調査している。

文科省によると、教職員の定数は、各都道府県が各年度5月1日の児童・生徒数などに基づいて算出し、文科省に申告して都道府県ごとの定数が決まる。 義務標準法などによると、就学援助を受ける子供が100人以上おり、かつ全校で25%以上に達する学校が1校存在するごとに、都道府県の事務職員定数は1 人増える。

 制度は就学援助の受け付けなどを各校で行うため、業務負担が増えることを考慮した措置だ。困窮世帯の教育費は生活保護と就学援助から支援給付され るが、同じ費目の重複受給はできない。修学旅行など一部の費目は就学援助からしか受けられない。9府県は生活保護を受けながら就学援助を受けていない児 童・生徒もカウントしていた。

 大阪府では13年度に194人を過大申告し、約100人の事務職員が本来の枠を超えて配置された。大阪府教委は会計検査院の指摘を受けて気付き、今年度途中から削減を図っており、急に人手が減る学校現場には困惑が広がっている。

 毎日新聞が47都道府県の教育委員会に取材したところ、13年度の定数の過大申告を認めたのは、ほかに新潟8人▽愛知14人▽京都(人数は回答せ ず)▽和歌山1人▽広島11人▽香川1人▽高知5人▽福岡46人−−で計9府県。多くの自治体が「これまでの引き継ぎ通りにやっており、誤りに気付かな かった」と説明、愛知や大阪は「記録が残る分はすべて間違っていた」という。各府県は、国庫負担金の過大交付があれば、決算確定に合わせて返還するとして いる。

 12年度以前の分は会計検査院が現在調べており、過大交付が指摘されれば文科省は返還命令を出す方針。文科省財務課は「制度が複雑で理解されていなかった。今後はきちんと説明したい」と話している。
(9/30毎日新聞)